高級ブランドのマーケ担当6名が語るインフルエンサーマーケティングTips

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ハイブランドは流行を作り出す担い手だが、そのマーケティング手法においても時代をリードしている。近年注目されているインフルエンサーマーケティングも例外ではない。幾つかのハイブランドを例に、ティップスを見ていこう。


ハイブランドのマーケティング戦略の変遷

シャネルやルイ・ヴィトンが、その黎明期に顧客と密接な関係を築くことで発展したのは有名だ。ファッション業界や社交界の人脈をつてに新しい時代を象徴するデザインを売り込み、また商品を身につけた見栄えのいい社交界の花形にパリの街並みを歩いてもらうことで宣伝効果を得た。身近なインフルエンサーを起用しながらファンを囲い込んで行ったのである。こうした手法は、インフルエンサーマーケティングの効果を当時から知っていたとも分析できる。

一方、デジタル時代のここ20年のハイブランドによるマーケティングの傾向はこの2点に集約できるだろう。

  • インターネットを活用した独創的なブランドイメージの発信と差別化
  • ラグジュアリーな体験としての商品購入と、顧客の個別対応を可能にするグローバルネットワークの確立

オンラインショッピングが当たり前になり、デジタルマーケティングの革新が進むなか、こうした戦略はさらなる展開を迫られてきた。ソーシャルを活用して商品の選択や購入、ブランドとの関係構築に変化を求める顧客のニーズに対応する必要が出てきた。


デジタルマーケティングの発展と同時に進む経営マネージメントの変化

デジタルの発達に合わせてブランドのマーケティング戦略も変わってきた。そのなかで近年特に注目されているのがソーシャルを活用したインフルエンサーマーケティングだ。ハイブランドであってもソーシャル時代の新しい文脈に沿ったリテラシーや戦略を打ち立てる必要があることは同じだ。米国のインフルエンサーマーケティングのプラットフォームであるTraackrは、「ハイブランドによる9つの挑戦」という企業白書を著している。イギリスの自動車メーカーAston Martinや米国コスメ製造/販売メーカーであるEstée Lauder、高級ホテルを世界展開するMarriott Internationalといったブランドの戦略から得られた分析も盛り込まれ、インフルエンサーマーケティングを通して現代のハイブランドの成長を阻む要因を明らかにしている。


ハイブランドによるインフルエンサーマーケティングの活用

こうしたハイブランドの経験を自社のインフルエンサーマーケティングに活かすヒントとして、Traackrはハイブランドを牽引する有識者たちの声をもとに6つのティップスを提案している。

1.インフルエンサーマーケティングはブランド戦略に欠かせない支柱

-ポール・サンダーソン:イギリス酒造メーカーRemy Cointreau、マネージングディレクター-

「インフルエンサーマーケティングを、私たちは戦闘の中心的アプローチとも呼んでいる。ブランドの戦略に不可欠で、マーケティングのベースとなる柱だ。」現在、インフルエンサーマーケティングは世界中であらゆる業種から注目されている。独自の企業文化のなかで「戦闘の中心的アプローチ」と名付けたRemy Cointreauの姿勢はその流れをよく表していると言える。

2.インフルエンサーマーケティングによってブランドユーザーは価値ある存在となる

-サイモン・スプロール:Aston Martin最高マーケティング責任者-

「私たちは従来のようなアンバサダー対ブランドといった関係性には興味がない。インフルエンサーマーケティングを通して有名無名関わらず個々の顧客が価値ある存在となり、新しい発展や関係性を展開していくことを望む。ブランド側としては一層の信頼感や誠実さを追求していくことになるだろう。」以前であればブランドユーザーの声はアンバサダー、つまり一ファンの発言として捉えられ、好意的なメッセージであっても影響力が小さいためブランド側の発信よりも優先度が低かった。しかしソーシャルの発達に伴い誰もがインフルエンサーになりうる時代に変わったことで、ブランドはユーザーと相互信頼に基づいた新たな建設的関係を模索しなければならなくなったのである。

3.デジタルマーケティングにおけるコンテンツは顧客ファーストの時代へ

-デイビッド・ビーブ:Marriott Internationalグローバルクリエイティブ&コンテンツマーケティング副部長-

「デジタルマーケティングにおけるコンテンツはブランドの視点のみを優先していればいい時代ではなくなった。私たちのホテルに関わる全てのステークホルダーが利用できるオンラインコミュニティに乗り出さなければならない。顧客の人生をより豊かにし、それによって私たちはブランドバリューを得ることができるのである。」インフルエンサーマーケティングでは「人間中心のマーケティング」であることが要求される。もはや顧客はマーケティングの対象ではなく、その生活、人生を向上させるためいかに良いサービスを提供できるかを共に考えてゆくパートナーとして接することが求められている。

4.ソーシャルコマースはユーザー全てが参加者

-サラ・ワトソン:イギリスラグジュアリーファッション・ショッピングサイトNet-A-Porterソーシャルコマース上級副部長-

「ソーシャルコマースはオンライン上で人々がコミュニケーションをとり、影響を与え合うことで成り立つ。そのなかにはオンラインショッピングを共有するといった現象も生まれた。ブランドと同じくらいユーザーも主体的に行動しているのである。」

インフルエンサーやそのフォロワーであるブランドユーザーたちのリテラシーは驚くほど高い。ユーザーたちのオンライン上の行動を整備することがマーケティングにつながるという例も少なくない。

5.ユーザーとブランドの間に強い絆をつくるには少数の強力なインフルエンサーを活用する

-ジャンルカ・マイナ:スイス高級腕時計/宝飾ブランドDe GRISOGONO、グローバルマーケティング&コミュニケーションディレクター-

「当社のコンテンツマーケティングでは、少数だが価値あるインフルエンサーと関係を構築していくことに焦点を置いている。そのなかでユーザーとブランドの関係性を強め、また認知度を上げていくことができるだろう。」

現代のマーケティングでは商品そのものよりもブランドイメージやそのバックグラウンドとなる文脈が重視される。また、ユーザーはブランドやインフルエンサーが自分たちに誠実であるかどうか、非常に敏感だ。こうしたポイントに焦点を当てて適切なインフルエンサーを選定しなければならない。

 

6.インフルエンサーマーケティングによってブランドはハイコストパフォーマンスで顧客にリーチできる

-ジーン・イヴス・ミネット:Estée Lauder Companies Europeブランド地域ディレクター

「ハイブランドがターゲットとするユーザー層は限られている。このため、インフルエンサーを活用することで適切なセグメントに効果的なコストパフォーマンスでマーケティングを行うことができるのだ。さらに、インフルエンサーマーケティングは、必ずしも自社の顧客とは限らなくとも、ブランドに理解ある支持者を獲得するのにも役立つ。」

インフルエンサーは必ずしも社会一般の有名人とは限らない。ニッチな市場になるほどのその傾向は顕著だ。ハイブランドであっても、適切なインフルエンサーを選定することが適切なマーケティングにつながることは変わらない。

今回はハイブランドが着目するインフルエンサーマーケティングのポイントに焦点を当てた。日本を含め世界に無数あるブランドの規模は様々だが、時代を牽引するハイブランドから学べる視点は大きい。



参考:Traackr “6 Influencer Marketing Tips from Luxury Brand Leaders at Aston Martin, Estée Lauder, and More” http://www.traackr.com/blog/6-influencer-marketing-tips-from-luxury-brand-leaders-at-aston-martin-estee-lauder-and-more

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