効果的にインフルエンサーマーケティングを活用する食料品ブランドの傾向

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インフルエンサーマーケティングは今やどの業界においても重要な戦略となっている。その動向を探るうち、消費者はブランドに透明性と、自分もキャンペーンに加わっているという感覚の共有を求めていることが明らかになってきた。なかでも、食料品は誰もが必要とする商品だ。それだけ多くのソーシャルユーザーの関心を引き、差別化もしやすい市場と言える。

近年の食品業界はどのようにインフルエンサーマーケティングを活用しているのか、また複雑化が進むデジタル環境の中でどうすれば際立った存在になりうるのか、米国における近年の動きをもとに、5つの傾向について記す。

 

食品の製造過程をオープンにする

大手ハンバーガーチェーン、マクドナルドの商品がどのような製造工程を経て作られているのか、これまで様々な噂が飛び交ってきた。都市伝説とも呼べるような話を耳にしたことのある人は少なくない。

なかでも2012年、米国ではマクドナルドのチキンナゲットには「ピンクスライム肉」が使用されているという説がインターネット上で広まった。ピンクスライム肉とは、家畜の飼料として使われる粗悪な肉をアンモニアで殺菌し、ミンチにしたものである。

これに対し、米マクドナルド社は“Our food. Your questions. What are McDonald’s Chicken McNuggets made of ?(私たちの食品に対する疑問にお答えしましょう−マックナゲットは何からできているか。)”というYoutube動画を公開した。チキンナゲットを製造するTyson Food Inc.にディスカバリーチャンネルの人気レポーターをおくり、安全な食肉から手作業でナゲットが加工される現場を映したものだ。このビデオは世界中で拡散され、マクドナルド社の汚名返上に大きく貢献した。

マクドナルドに限らず食品産業に向けられる懐疑の視線は尽きることがない。これに対し各ブランドは説明責任を果たそうとするが、ブランド自身の口から語られた言葉の影響力はインフルエンサーのそれに比べれば小さなものだ。このため、ブランドはインフルエンサーとタイアップして自社コンテンツの作成と拡散、口コミを利用し効果を上げている。


ユーザーを巻き込んでイベントを展開する

インフルエンサーや幅広いソーシャルユーザーを対象としたキャンペーンに取り組むブランドも多い。

例えばコーヒークリームを手がけるInternational Delightは、コールドストーンというクリーミーで甘いフレーバーのついた商品を売り出すにあたり、ブロガーたちにレシピ作成し投稿してもらうというイベントを展開した。

 

こうしたキャンペーンはハッシュタグをつけることで誰もが気軽に参加でき、ソーシャル上の動きを追うことができる。またインフルエンサーやそのネットワークとコミュニティを構築するにも有力な戦略だ。ユーザー参加型キャンペーンは、扱う食品の種類やブランドの大小に関わらず取り組めるのも魅力である。


インフルエンサーを介して他社と協同キャンペーンをおこなう

インフルエンサーマーケティングを実施するにあたり、多くのユーザーがコンテンツをシェアしてゆく様子を見守るのはマーケターにとり大きな充実感となる。時にそれはソーシャル上に限らない。InstagramやFacebookといったSNS、ブログを見れば、キャンペーンの一環としてインフルエンサーたちがリアルの世界で人々を集め、交流パーティを行っている様子を写した画像や動画が多く投稿されている。そしてその様子もソーシャル上でシェアされていく。

それならば、他社ともキャンペーンをシャアしてもいいのではないか。こうした発想から、米国でアボカドディップを販売するWholly Guacamoleと、独自のフローズンドリンクを手がけるDaily’s Cocktailは第85回アカデミーアワードに合わせてパーティを企画した。 パーティのホスト役となるブロガーを集め、自社の商品をはじめとする必要なものすべてを用意して事前に送ったこのキャンペーンは両社にとって大きな成功となったという。パーティにはフードやドリンクが欠かせないが、食料品ブランドであっても自社の商品だけで全てを取り揃えるのは難しい。そうなれば他ブランドと協働してキャンペーンを行うのも一策だろう。


ブランドと商品のバックグラウンドを多面的に伝える

いま、マーケティングは商品そのものより商品やブランドが生み出されたコンテクストにスポットライトを当てるほうが重視されている。インフルエンサーやユーザーはそのストーリーに共感することでブランドを支持する時代になっている。とりわけミレニアル世代の若者たちは、ブランドが利益を上げるだけでなく、事業を通じて社会に貢献することを望んでいる。こうしたなか、インフルエンサーマーケティングの戦略は必ずしもインフルエンサー、ユーザーとソーシャル上でつながることだけにとどまらない。

テキサス州初の合法蒸留精製工場から事業を営んできたウォッカ販売のTito’s Vodkaは、大手アルコール販売事業者とは言えない。 しかし設立者は人生の意味や自分らしい生き方をする方法について熱いビジョンを持ち、自社のHPにもスピーチ動画、ブレーンストーミングの手順、その際に使用するリスト用紙のPDFを掲載している。そしてそのリストを#TitoMomentというタグとともにInstagramやTwitterに投稿するよう呼びかけているのだ。決して大きく有名なブランドではないが、この姿勢に触れたインフルエンサーの心を魅了し、作成したリストをタグ付け投稿、拡散することで、Tito’s Vodkaはロイヤリティの高いファンを獲得しているという。


季節限定商品でインフルエンサーネットワークと長期的にタイアップする

口コミマーケティングが注目されるなか、消費者がブランドを認知するのは多くの場合、インフルエンサーが3回以上その名を出してからだという。これを踏まえてインフルエンサーマーケティングは特定のインフルエンサーネットワークを軸に、長期継続的に行うのが効果的だと指摘されてきた。この過程で充実した信頼できるアーンドメディアが成長するのである。

一方、インフルエンサーは自分を取り巻くソーシャル上のネットワークと安定した関係を維持したいと望むと同時に、新しいもの好きで新商品を真っ先に試したいと考えている。こうしたインフルエンサーのニーズに対し、四季折々の商品で飽きさせないキャンペーンができる食料品ブランドは有利だ。季節限定商品であれば話題性もある。

例えば米国スターバックスでは夏にはピーチのデザート、秋はパンプキン・スパイスラテを売り出し消費者を引きつけている。こうした商品をいち早くインフルエンサーに届けることで新商品をプロモーションし、消費者の期待値をあげている。

多くの食料品ブランドがインフルエンサーマーケティングを活用することで消費者に際立った印象を残しているなか、そこには幾つかの傾向が読み取れる。今回は5つ点から、近年のトレンドを米国の事例と共に見てきた。誰にとっても欠かせない業界であるゆえ、多岐にわたる大きなニーズからニッチな需要までを洗い出し、自社のコンテクストに合致するインフルエンサーを選定することが成功につながると言える。

  参考:GroupHigh “5 Ways Food Brands Are Nailing Influencer Marketing”http://www.grouphigh.com/blog/5-ways-food-brands-are-nailing-influencer-marketing/
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