ファッションインスタグラマーをどのように活用するか

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従来のタレントやモデルでない、ファッショニスタと呼ばれる人々がファッション業界を賑わわせている。

ブログやSNSを通じてファン数を増やしながら自らのコーディネート案を発信したりニューシーズンのアイテム予想、ブランドの広告塔を務める彼ら/彼女らは、インターネットにとどまらずテレビドラマやレッドカーペットまで、幅広いチャンネルに登場している。

その影響力は、デジタル時代の新しいスターといっても過言ではない。

ファッショニスタたちはマーケティングにおいても、ファッションインフルエンサーとして注目を集めている。

とりわけInstagramで自撮り写真とハッシュタグによって知名度を獲得してきたファッションインフルエンサーは多い。日本でも「インスタグラマー」という新しい肩書きとともに、近年雑誌に登場するファッショニスタを見かけるようになった。

とりわけ若い消費者層から大きな支持を得るInstagramのファッションインフルエンサーを、ブランドが効果的に活用する道筋を紹介する。


Instagram上で台頭するファッションインフルエンサー

Instagramは、今や世界で最も影響力のあるソーシャルネットワーキング・プラットフォームだ。あらゆる世代の人々、また企業のオフィシャルアカウントがひしめいている。

そこでよく使用されているハッシュタグにはどんなものがあるだろう。

例えば人気ミュージシャンCREAMのアルバム名、#nofilterは1億6,600万回、またいわばSNS用語である#like4likeは2億8,800万回使われている。“like4like”とは、“Like for Like”つまり、「イイネ」してくれたら、お礼に「イイネ」を送り返します、という意味だ。

日々のあらゆる場面をソーシャル上に投稿するユーザーたちにとって、Instagramは彼らの生活要素を並べ立てたショーケースとも言える。ページにアクセスすれば仕事や交友関係、食の好み、余暇の過ごし方といった様々な側面を覗き見ることができる。

また、それと同時に本人自身の姿もInstagramに登場する。着こなしについてのコメントとともにアップされることも多く、その場合は#fashionとタグ付けされる。その結果、これがInstagramでもっとも使用頻度の高いハッシュタグになっている。

さらに細分化してみていくと、とりわけ英語圏では#ootd(Outfit of Today:今日のコーデ)というタグとともに本人のその日のファッションを載せたり、#fitspo(Fitness Inspiration:コーデの参考)を使って著名なファッションリーダーの着こなしからヒントを探ろうとするトレンドもある。

なかにはこれをビジネスとして成り立たせているInstagramユーザーもいるほどだ。

彼ら/彼女らはどのように自撮り写真の投稿をビジネスにつなげてきたのだろうか。また、そのビジネス活用のアイディアを探ってみよう。


多様なファッションインフルエンサーから適切な人材を選定する

Instagramの広がりはファッションビジネスにも大きな変化をもたらした。

誰がファッションリーダーになるか、またそのスタイルを表現してプロモーションしていく方法を一変させたのだ。

世界中のファッションインフルエンサーが自分の姿を映した写真を添えてタグ付け投稿を行うなかで、その手法は各自で別れる。

例えばオーストラリアの美少女ケースティ・フレミング(@kirstyfleming)のやり方はいたってシンプルだ。

ある日の彼女のページを見てみると、真っ白な部屋で手頃な部屋着を身につけ、鏡に向かって自撮りを写す姿が載せられている。投稿には彼女と同じ部屋着を取り扱うサイトへのリンクが貼られている。

その一方でGal Meets Glamというファッション・ビューティーブログを運営するサンフランシスコのジュリア・エンジェル(@juliahengel)などは、GAPやラルフ・ローレンといった大手ブランドが展開するファッションインフルエンサーとの協働キャンペーンに参加している。

ブランドの立場から考えてみれば、このように様々な方法で自らのスタイルを打ち出そうとするファッショニスタがいるということは、自社のゴールや予算に合わせて多様なインフルエンサーを選定できるということだ。

さらなる成長を見据えて精力的なキャンペーンに乗り出そうとする中小ブランドもあれば、十分な認知度を背景にインフルエンサーと息の長い関係を構築しようとするブランドもあり、また確実なリターンにつながる商品情報の拡散を望むブランドもあるだろう。

多様なニーズがあるなかで、ファッションインフルエンサーとのコラボレーションはそれぞれに見合った結果をもたらす。

では自社に合わせたインフルエンサーはどのように選び出したらいいだろう。

そのためにはまず、ファッションインフルエンサーのよくあるタイプとビジネスへの影響力、彼ら/彼女らへのアプローチの仕方を見ていこう。

 

Instagram上のブランドマネキンとして活用する

どこかの プロダクションに所属せずとも、自撮り写真だけでモデルの役割を果たしてしまうInstagramユーザーがいる。商品販売に向けて自社のアイテムの露出機会を増やしたいと考えるブランドにとって、こうしたファッションインフルエンサーは強い味方だ。

ただし、いくらかの「イイネ」を集めるくらいではなく、他のソーシャルユーザの中で話題になるほどのカリスマ性がなくてはいけない。

先述のケースティ・フレミングの場合、Instagramページには彼女のパーソナリティを紹介するような記事はなく、セクシーな装いの自撮りだけがずらりと並ぶ。フォロワーたちはフレミングのキャラクターを掘り下げることはできず、物言わぬマネキンのように服を美しく着こなす写真ばかりだが、それはあくまでのファッションアイテムに注目させるため、計算された投稿なのだ。

入念に考えられた照明、ヘアスタイルやシンプルなメイク、褐色の肌など、彼女自身とウェアを際立たせる工夫がいたるところで駆使されている。

このため米国hot miami styles、オーストラリアのlittlelaceといったレディースファッションブランドや英国シューズブランドsimmi shoesなどがこぞって彼女を起用している状況だ。

ブランドは自社のアイテムを宣伝してもらうため、ウェアを贈ったり報酬を支払ったりするわけだが、彼女をフォローするファンたちが投稿された画像にコメントしたりシェアすればするほど、ブランドは広告費用を抑えることができる。

フレミングの投稿1 回に払われるギャラは明らかになっていないが、安くはないだろう。

こうしたInstagram専用マネキンの起用を考えるブランドがあれば、ウェアを発送したり契約金を支払う前に、当人に関するある程度のデータを収集しておくのが賢明だ。


多彩なブロガー/Instagrammerから自社のインフルエンサーを選定する

被写体のキャラクターに付加価値を置かないマネキンとは違い、自撮りに写る当人のルックス、キャラクター、クリエイティビティをも打ち出して活躍するのがブロガーだ。

彼ら/彼女らは単にキュートなルックスで注目されるだけでなく、自らがブランドとして動いているとも言える。時に類似するファッションブロガーもいるが、それぞれが独自の存在だ。

例えばジュリア・エンジェルはInstagramに89万5千人のフォロワーがいるが、これ以外にgalmeetsglam.comというビューティ&ファッションブログを運営している。

彼女のクラシックで上品なスタイルは評判を呼び、GAP、Banana Republicのような大手ブランドともキャンペーンを行っているほか、asos、net-a-porterやケートスペードといったファッションブランドのアイテムもInstagramの自撮りに利用している。

エンジェルのようなブロガーはアイテムの売り出しに向けて投稿をおこうなうより、自分の注目するウェアについて言及するパターンが多い。このため手頃な価格のアイテムを売り出したいと考える中小ブランドよりは、他と差をつける特別感のあるオファーを提供できるブランドの方が手を結びやすいだろう。ブランドとの協働を望みつつ、まだ露出機会が多いとは言えないファッションブロガーは大勢いるので、自社に合わせた人材を慎重に選ぶことをお勧めする。



おすすめの記事1:『米国Instagramのファッションインフルエンサーが動かす金額

おすすめの記事2:『高級ブランドのマーケ担当6名が語るインフルエンサーマーケティングTips』



セレブリティの個性に関連させて自社のアイテムを売り出す

自社のブランドプロモーションに十分な予算があるならば、Instagramにならぶセレブリティたちを利用してそれぞれに見合ったギャラを払い、キャンペーンをおこうのも手だ。

セレブリティ、カーダシアン家を追った米国人気リアリティ番組「キーピング・アップ・ウィズ・ザ・カーダシアンズ」への出演で注目を浴びたファッションモデル、またタレントのカイリー・ジェンナーのようなセレブリティもブランドとのタイアップキャンペーンで活躍している。

長く美しいヘアの促進をサポートするキャンディ型サプリメントsugar bear hairをはじめ、様々なスキンケア商品やデトックスティーブランドの広告塔として目にする機会は多い。

ジェンナーのような、いわば生まれついてのセレブリティでなくとも、自らの力で叩き上げのセレブリティの道を切り開くファッションインフルエンサーを活用することもできる。

例えば、今ではすっかりInstagramスターになったアンドレア・クリスティーナは、ボーイフレンドであるポーカープレイヤー、ダン・ビザーリアンとのデートを報告する投稿からソーシャル上のキャリアをスタートした。この投稿は不評をかったが、その後ブランドアイテムに関する記事のシェアと自分のライフスタイルを紹介する投稿を巧みに組み合わせ、ユーザーたちの注目を集めていった。

やがて見栄えのいいルックスとウィットに富んだキャラクター、エクササイズを取り入れたヘルシーなライフスタイルがブランドの目にも止まるようになり、プロテインメーカーprotein world、健康志向のティーブランドskinny bunny teaや、skinny bunny bikini、prana activewearといったファッションブランドとのコラボレーションで活躍している。

さらに彼女が飼っている3本足の猫も@smushballというアカウントで85万人のファンを集めている。毛足が長く、眼光の鋭いキュートなルックスだ。


“fan page”のなかでブランドアイテムのプロモーションをおこなう

Instagramのなかには特定のアカウントが管理するのではなく、不特定多数のユーザーが参加できるコミュニティとして成り立っている“fan page”がある。

例えばドレスやリング、婚約者へのプレゼントやパーティーの様子など、ウェディング・アイディアが寄せられる@_fantasywedding、ドレスやバッグ、シューズといったファッションアイテムを中心にオーダーメイド商品を紹介し合う@lovinghautecoutureのページでは、それぞれ88万のユーザーが参加し百万人のフォロワーが注目している。

こうしたページも利用の仕方によってはインフルエンサーとしての機能を果たしてくれる。多くの人々が関心を寄せるfan pageにはプローション目的のブランドが自社のアイテムを投稿することができるのだ。

なかには提携する飲料ブランドの商品とともに写り込むモデルといった場違いな投稿があがることもある。このようなユーザーには即座に他の利用者から否定的な反応が寄せられるが、それと違って、例えば@_fantasyweddingのページに自社のブライドメイド用ドレスのラインナップを紹介したりエンゲージリング・ブランドのサイトリンクを貼った場合、たくさんの肯定的な反応が集まる。

ウェディングに限らずスイミングウェアやお手頃ファッションアイテムまで、多様なカテゴリーのファンページが存在するので、自社に適したページを探し出すのは難しいことではないだろう。

 

自社のゴールを意識し、専門事業者を利用するのがキャンペーン成功への近道

Instagramのファッションインフルエンサーが多様化するなかで、自社に合わせた人材を選定するには、まず自社のゴールを再確認することが必要だ。

中小ブランドがアイテムの売り出しや認知度のアップに乗り出す場合はニッチなインフルエンサーに的を絞るのがいいだろう。精力的な発信をおこない、他のユーザーよりも「イイネ」やコメントを高確率で得ているエンゲージメントの高いインフルエンサーが適任だ。

またはマーケターがブランドページを作成してファンやトラフィックの拡大を目指すことも考えられる。肯定的であれ否定的であれ、運営していくなかでなんらかのエンゲージメントを得られれば、それをもとに自社に適したインフルエンサー像を描くヒントになるだろう。

Instagram上でインフルエンサーに関するデータを集めキャンペーンの戦略を練るにあたり、膨大なページを遡ったりハッシュタグを追いかけようとするならば多大な時間を費やすことになる。

大勢のファッションインフルエンサーをプロファイリングし「イイネ」やコメント数をマーケター自らが集計するのは一苦労だろうし、インフルエンサーを抱えるエージェンシーを介した場合、多額の費用が必要になることもある。

こうした状況のなか、インフルエンサーマーケティングを行う専門事業者にアプローチすればコストを軽減できる。

スキルと経験に裏打ちされた様々なインフルエンサーマーケティング・プラットフォームが、カウンセリングで自社のニーズを聞き出し、Instagram上でインフルエンサーを効果的にリサーチするキーワードやフィルタリングの方法を伝授している。

専門事業者の利用は時間と費用を節約し、Instagramのファッションインフルエンサーを活用するビジネスをさらにROIの高いものにするだろう。

もちろん大きなブランドにとっても、時々で変化する自社のニーズに合わせて、適切なインフルエンサーを選定するのに専門事業者は便利だ。Instagramをビジネス目的で利用する各ユーザーに合わせ、インフルエンサーマーケティング事業者は様々なサービスを展開している。

Instagramのファッションインフルエンサーと従来のモデルやタレントの境界は低くなる一方だ。

Instagramのファッショニスタはそれぞれの能力やキャラクターに合わせて多様な手法、チャンネルで発信を行っている。

無名のユーザーがいつの間にかスターになっていることも珍しくない状況だが、駆け出しのユーザーほど小さなコストでキャンペーンに携わってくれるし、有名なインフルエンサーは高いギャランティと引き換えに大きなリーチを引き出す。

またfan pageのように誰もが参加できるページを利用して、ユーザーからのダイレクトな反応を引き出す方法もある。

日本でも「インスタグラマー」として注目を集める彼ら/彼女らの影響力は増す一方だ。ローラのようにすでにモデル、タレントとして成功してからInstagram市場に参入し、ライフスタイルやファッションについてさらに注目を集めるインフルエンサーもいれば、無名のスタイルブロガーがInstagram上でファンを獲得し、雑誌に登場するまでになることもある。

自社のゴールやスケールに合わせてInstagramの活用機会を探り、専門事業者の利用も視野に、ファッションインフルエンサーにアプローチしていきたい。



参考:Topinfluence “#instafashion | the rise of instaglam fashion influencers and how you can get them working for you ”http://topfluence.com/2016/05/12/instafashion-the-rise-of-instagram-fashion-influencers-and-how-you-can-get-them-working-for-you/
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