米国Instagramのファッションインフルエンサーが動かす金額

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Instagramのユーザーは世界的に拡大しており、日本でもインスタグラマーと呼ばれるSNS上のスターがメディアに取り上げられるようになっている。とりわけファッション分野でのニーズは高まる一方だ。

これまでのようなTVタレントやモデルとは違い、ルックスとファッションセンスにとどまらず、ビジネスの才覚と話題作りにも長けた彼ら/彼女らはファッションインフルエンサーとして新しいビジネスモデルを展開してきた。

新たなソーシャルマーケティング手法としてブランドからの注目も高まるなか、そのニーズに応えるべくインフルエンサーマーケティングの専門事業者も多数立ち上がり、業界の盛り上げに一役買っている。

特に、グローバルな影響力を持インフルエンサーが集まる米国では、Instagramやブログを通して多数のファッショニスタがファッションやライフスタイル、スキャンダルを発信し、大きな経済効果をうみだしてきた。

その動きにはトレンドに敏感なソーシャルユーザーだけでなく、今や著名なビジネススクールまでもが目をみはる状況だ。

ファッションインフルエンサーが率いる新たなソーシャルビジネスを活用し、ブランドが自社の利益に結びつけていくにあたり、彼ら/彼女らが実際に動かしている金額を知っておくことは重要なポイントとなる。

米国の事例を取り上げながら、ファッションインフルエンサーが生み出す利益を紹介する。


ソーシャルメディア帝国に君臨するファッションインフルエンサー

アリエル・カーナスが手痛い失恋を経験し、恋人を取り戻すためにブログを始めたのは2009年のことだった。

「彼の目にとまるよう、私の人生がうまくいっている姿をインターネットで見せつけ、リベンジしたかった」と言う。

現在29歳になる彼女が管理するファッションブログ、“Something Navy”はInstagramとSnapchatの出現によって瞬く間に成長した。

スタイリッシュなスキニージーンズやデザイナーズバッグ、ハイライトで毛束感を強調するカラーリングを施したゴージャアスなヘアスタイル…。彼女がアップする投稿はソーシャルユーザーたちの注目を集め、気づけばInstagramに89万2千人のフォロワーを抱える「ソーシャルメディア帝国」に君臨していたのだった。


現在Something Navyのページにはドレスやアウター、シューズのほかキャップやバッグといったファッション小物、またメイク用品など様々なアイテムがずらりと並ぶ。

ブランドと提携したシーズンごとのセール情報も記載されている。

新しいライフワークにのめり込むうち、恋人への未練はどこかへいってしまったという。

彼女のこうしたソーシャル上での強い影響力はブランドの目にも留まり始め、昨年2015年にはトレセメ(TRESemme)社のシャンプーCMにも起用された。

同社の商品は日本でも海外コスメとして人気があるが、こうしたCMはこれまで売り出し中の若手TVタレントや映画スターが使用されるものだった。


ハリウッドセレブ達を揺るがすような、カーナスのようなスターの登場をどのように捉えたらいいのだろう。

各時代には、その時代を象徴するミューズがいる。

米国では80年代ならクリスティー・ブランクリーやエル・マクファーソン、イマンといったモデルや女優が有名だ。

90年代にはシンディー・ローパー、ヘイディ・クラム、ケイト・モス、ナオミ・キャンベルらが世界中のランウェイを賑わわせてきた。

2000年代に入るとヴィクトリア・シークレットのモデルたちが脚光を浴びるようになる。

そして今日ファッションにおいて若者たちの賞賛を集め、スポットライトを浴びるのはジジ・ハディッドやケンダル・ジェンナーといった、いわゆるインフルエンサーと呼ばれる洗練されたソーシャルスターたちだ。

ブログやInstagram、Facebook上で多くのユーザーから絶大な支持を得る彼女たちは、新しいセレブリティとしてトレンドを牽引している。


こうしたファッションインフルエンサーのなかでも、最も影響力があるのは誰かを断定するのは難しい。

しかし、キアラ・フェラーニとエイミー・ソング、リーンドラ・メディーンは有力な候補者だろう。

彼女らが手がけるブランドの日本語版サイトもでき始め、日本のファッショニスタの間でも認知度が高まりつつある。

イタリア出身でロサンゼルスを拠点に“The Blonde Salad”というスタイルブログを運営するフェラーニはInstagramに6千200万人のフォロワーを抱え、2015年にはスペイン版Vogue誌でカバーモデルにも抜擢されている。

自らの名前をもじった「ファーフェッチ」というファッションブランドも立ち上がっており、グラフィックを用いて大胆なアクセントをあしらい、華やかで遊びごころがあるデザインに注目が集まっている。

ファッションブログ“Song of Style”を発信するソングはインテリアデザインを手がけるブロガーだったが、月間2百万ページビューを誇る彼女が紹介した商品は飛ぶように売れ、ニューヨークやロンドン、パリ、モロッコやシンガポール、そして東京まで、世界各地のトレンド発信地を飛び回るコレクションの常連となっている。

さらに「男が嫌うファッション」、「男よけファッション」を意味する“Man Repeller”というファッションブログで知られるメディーンは、InstagramをはじめFacebookやTwitterで、時には奇抜なアイテムも混えたユニークなスタイルを発信し2百万人のファンから愛されている。


ハーバード・ビジネススクールも注目するファッションインフルエンサーのビジネスモデル

インフルエンサー、またはファッションインフルエンサーの定義や実態とは曖昧なものだ。たとえば「冒険家」や「オピニオン・リーダー」のように、明確な意味づけよりも人々が彼ら/彼女らをそう呼ぶこと自体によって世間にに認知されてゆくという非論理的な側面もある。

しかし、いまやファッションインフルエンサーたちがソーシャルメディアの成功者としてビジネスを成立させ、多額の報酬を獲得しているのは現実なのである。


例えばフェラーニは2009年にブログを立ちあげるや否や、コアなファッション中毒の人々やブランドから注目されるようになった。

「どんな分野であれ、成功する秘訣は情熱を持って一所懸命に、そして少しクレイジーになること。こうやって私は今のようなビジネスウーマンになった。」と彼女は語っている。

驚くことに、トレンドを率いる彼女のこうした動きに関してはハーバード・ビジネススクールまでが関心を寄せ、昨年発表されたケーススタディーにまとめている。

研究によると、フェラーニは当初ブログに貼り付けたバナー広告から収入を得ていた。しかし、The Blonde Salad上で自身が発信するコンテンツ自体が金を生み出すことに気づくまで、長くはかからなかったという。

スポンサーブランドの商品をブログに取り上げ、ファンベースの売り上げの何割かを報酬として受け取るというスタイルでも十分な収入が得られるようになったのだ。

ファンの増加と並行して報酬は上がり、今やイベントをオーガナイズすれば5万ドル、またシューズブランドでは自身のシリーズを持ち、イヴ・サンローランの香水Black Opiumのプロモーションに起用されるなど、トップブランドからのオファーも届いている。

ハーバードのレポートによると、フェラーニは2014年までに14人のスタッフを雇用し、7百万ドルを獲得しているという。


ファッションインフルエンサーの収入とコスト

ブランドがソーシャル上でインフルエンサーマーケティングに基づくキャンペーンを行う際、インフルエンサーたちの動きはすべて追加料金にしたがって決定される。

例えば乗用車を買う場合を考えてみれば、セダンの基本購入価格が2万ドルだったとしてもレザーシートやサンルーフのオプションをつければ値段は一気に倍に跳ね上がる。それと同じだ。

「普通、ブランドはインフルエンサーらにブログ、Instagram上で自社の商品についてシンプルに言及するのではなく、幾つかのタグをつけて投稿することを望む。また、ユーザーたちのエンゲージメントが高い月曜の朝に投稿するのか、人々がまどろんでいる日曜の午後にするか…。

こうした投稿スタイルやタイミングもすべて事前に決定し、報酬料金を算出しておくことになっている。」とナードは言う。


とはいえ、支払われた報酬金額がそのままインフルエンサーの利益になるわけではない。

ソーシャルメディアのファッショニスタたちは、投稿画像の撮影費用といった諸経費を自己負担しているものだからだ。

例えばアリエル・カーナスのSomething Navyはファッションフォトグラファーのアレキサンドラ・ウルフが担当しているし、撮影にあたっては照明やメイク、ヘアスタイリストも必要になってくる。

たった1枚の画像であっても丸一日、時には二日かけ、5千ドルの費用がかかっていたりするのである。

リーンドラ・メディーンのMan Repellerについても、2016年6月にブログのデジタルディレクター、ケイト・バーネットが「Man Repellerはどうやって金を生み出しているか(How Man Repeller Makes Money)」という記事をアップしている。

話題性ある彼女たちのブログの内情をあれこれ詮索しようとするメディアの要求に応えたものだが、そのなかでバーネットは「かわいらしく仕上がっている私たちのブログも、編集努力の賜物だ。それは一般的な広告運営と同じである。」と述べている。

メディーン自身がブログの経営事情を語ることはなかったが、その年間売上高は100万ドルは下らないだろうと推測されている。


ファッションインフルエンサーは高額なギャラと引き換えにエンゲージメントをもたらす

では、こうした高額な報酬を支払った結果として、ブランドは何を手に入れられるのだろうか。

それはなんと言ってもソーシャル上のアクセス数である。とりわけソーシャルメディアの使用頻度が高く、またファッションに対する支出が高いミレニアル世代の若者たちからエンゲージメントを引き出すことが期待されている。

インフルエンサーとして利益をあげるファッションブロガーにとって、Instagramはビジネスツールであり、投稿は広告だ。しかし、ブログを通して彼女たちに親しみを持ち、「リアルな女性たち」と認識する少なくない数のユーザーにとっては、ファッションブロガーの投稿は信ぴょう性の高い口コミという威力を持つのである。

「効果的なブログ投稿を作成することについては、さまざまな側面がある。」と語るのはInstagramに150万人のフォロワーを抱えるスタイルブログ“We Wore What”のダニエル・バーンステインだ。

最も影響力のあるインフルエンサーの一人である。

「とりわけ注意を払わなければならないのは、信頼できる記事かどうかということ。記事は読者との信頼の絆を作るものだから、私自身が良いと思えない商品を紹介することはできない。」という。


「インフルエンサーは自身が管理するソーシャルメディアの各チャンネルを通して、数百、数千、そしてなかには数百万の消費者にリーチする。

フォロワーたちは彼女たちのライフスタイルに憧れ、彼女らが食べるものを食べ、彼女らが身につけるものを身につけたいと望んでいる。つまり、オーディエンスたちがファッションや美容、旅行などについて考えをめぐらす時、その意思決定に大きなインパクトを与えるのである。」

こう語るのは自社の取り組みを「インフルエンサーのキャスティング・エージェンシー」と紹介するSocialyteの共同出資者レベッカ・アレキサンダーだ。

ファッションインフルエンサーはミレニアルたちにとってリアリティ番組のスターであり、数10億ドルに相当する商品が彼ら/彼女らの発信を通して売れているという。


比較的安価で柔軟なファッション・ミクロインフルエンサーを活用する

数回の投稿で6ケタの報酬を手に入れるトップランクのインフルエンサーがいる一方で、彼ら/彼女らをソーシャルマーケティングに活用しようとするブランドのすべてがインフレ的なギャラに対応するつもりがあるわけではない。

フォロワー数の多いインフルエンサーに対する高額な報酬料金が生み出すROIに懐疑的なマーケターも少なくないのだ。 

それよりも、ファンのロイヤリティの高さを重視し、インフルエンサーの有用性はフォロワーたちが商品購入サイトへのリンクをどれほどクリックしているかだとするブランドは少なくない。

このため、比較的安価なギャラで済む、フォロワー数15〜50万ほどのマイクロインフルエンサーと呼ばれるような人々でも、ソーシャル上での知名度を活かして十分な生活費を捻出している場合がある。

アレキサンダーによると、「マイクロインフルエンサーは熱意があり、ブランドのビジョンにも柔軟な姿勢を示すうえブランドが求めるニッチなオーディエンスにもリーチしてくれる」という。


マイクロインフルエンサーの一人、ヘイディ・ナツァラディンはInstagramに23万7千のフォロワーがいる。

年収40万ドルのシティバンク向け投資銀行家を2009年にやめたが、それと引き換えに現在のライフスタイルを手に入れた。

数多くの一流ファッションブランドとコラボレーションを行う彼女は、「各キャンペーンに対する報酬の平均は3千ドルだが、時には非常に大きな数字になることもある。」と語る。

キャンペーンは、シンプルなブログ投稿からソーシャル上の各チャンネルを通じた発信、またイベントでの露出など多岐に渡るという。

彼女への報酬は必ずしも金銭で支払われるわけではない。

最近とある有名ファッションレーベルが彼女をミラノへ招待したが、その際、飛行機での席はファーストクラス、現地ではレーベルのトップスタイリストとともにショッピングで服をとっかえひっかえし、デザイナーズブランドの衣類でいっぱいになったスーツケースをひいて帰路についたという。

この待遇に、ナツァラディンはミラノでの旅がいかに充実していたかを伝える熱意あるブログ記事を投稿し、また数回Instagramもアップして応えた。

彼女にオファーを申し込むのはファッションブランドだけではない。

ロサンゼルス国際空港もターミナルのアップグレードに伴うプロモーションで彼女を起用し、ラグジュアリーなラウンジやカフェなどを褒めちぎる内容の記事をブログやInstagramで投稿させている。



インフルエンサーマーケティング事業者がブロガーとブランド両者にもたらす利点

上でも触れたが、ビッグネームのインフルエンサーであればあるほどスタッフを抱えているのは当然で、このほかインフルエンサーマーケティングの専門事業者といったエージェントを介してブランドとのビジネスを行っている場合が多い。

「駆け出しのブロガーたちは、もし今どうしても必要でなくても、なるべく早めにエージェントと手を結んだ方がいい。」とナツァラディンはいう。

「ブランドにとって、間に入って金の話をするエージェントがいた方がやりやすい。また、ブランドは自分たちが起用しようとするブロガーについてよく調べており、あれこれ要求も多いので交渉役がいた方がブロガーにとっても便利だ。」


これ以外にも、ソーシャルに不慣れなブランドにとって、インフルエンサーの真価を見極めるのは難しいものだ。

オンラインで目にする情報の信ぴょう性を見極めるためにも、ソーシャルメディアマーケティングに精通した専門事業者は助けとなるだろう。

「ゴースト・フォロワーを抱えるアカウントは人々が思う以上に多い。」と語るのは、ブランドのインフルエンサーキャンペーンをサポートするPR会社Brandsway CreativeのCEOケリー・ブレイディだ。

インフルエンサーだと認識されている人々の中には、フォロワー数を金で買い、水増しした数字を記載している場合もあるのだ。

極端な例だが、「例えば5万のフォロワーがいて実際に商品の取引を生み出しているアカウントがある一方で、フォロワーは百万なのになんの活動もしていないアカウントがある。」

ゴーストフォロワーが存在していることは明らかだろう。


ビジネス感覚に長けたファッショニスタの参入で混迷するファッション業界

ファッショニスタの影響力に期待し、「ソーシャル帝国」を活用してマーケティングの幅を広げようと画策するなかで、インフルエンサーとの関係のあり方や不確定要素の強いソーシャルユーザーの行動、また新しいインフルエンサーマーケティングの手法を前に戸惑うブランドも少なくない。


インターネット上で売り出し中のコスメブランドWinky Luxの共同出資者、ナタリー・マッキーもソーシャルが発達する以前のような広告手法を続けていくことに疑問を持ち、ビューティ・スターを起用したインフルエンサーキャンペーンの効果に期待する一人だ。

「インフルエンサーマーケティングが隆盛する今の状況は、カリフォルニアにゴールドラッシュが押し寄せた時代に例えることができる。どこを掘るのがあたりでハズレかわからない、ギャンブルのようだから。

ただ、現代ではツルハシとショベルといった道具はiPhoneやInstagramアカウントなどのツールへと変化しているが。」と語る。

さらに「ブランドはインフルエンサーに接触するとき、彼女たちに直接連絡することもあればエージェントにメールすることもある。」という。

「なかには一度もブランドとビジネスを行ったことがないような、中身のないエージェンシーもある。こうしたことが、いま一体誰とビジネスを行えば良いのか混乱を起こしているのだ。」


そしてインフルエンサーマーケティングを取り入れるにあたり、ナタリーが注視しているのはカーダシアン一家の事例だ。

お騒がせセレブリティ一家を追った米国のリアリティ番組「カーダシアン一家」は、2007年に放送が開始されるやいなや高視聴率を獲得してきた。

特に著名なキム・カーダシアンや上記のケンダル・ジェンナーなど個性豊かな家族の華々しい交友関係、またライフスタイルやスキャンダルが注目を浴び、炎上商法とも呼べる手法でビジネスをうみだしている。

「有名であること自体によって有名になってきた」、と言われる一家の人々は、特別大きな才能があるわけではない。

しかし彼ら/彼女らがプロデュースやプロモーションに関わるファッションブランドや香水、化粧品が飛ぶように売れているのは事実なのだ。

「カーダシアン一家の人々のような話題性をソーシャル上で獲得する兆候を見せるユーザーがいれば、インフルエンサーになる可能性が見て取れる。」とナタリーは言う。


インフルエンサーは5千ドルから10万ドルまで、様々な額の報酬をWinky Luxに要求してきたようだ。

事業のスタートアップとして誰にマーケティング予算をかけるか、マッキーらは投資に値するインフルエンサーを見極めるため頭を悩ませてきた。それは科学よりもアートセンスが問われる問題だと感じるという。

「ほとんどの場合、インフルエンサーは魅力的で巨額のビジネスを動かしてくれる。しかしなかにはエゴの塊のような者もいて、そうした人物と話すたび、Instagram上に50万のフォロワーがいるだけで、一体なにが偉いのか、疑問が頭をもたげてくる。50万フォロワーの犬だってInstagramには存在するのだ。」


ソーシャルメディアを利用して多様なアカウントがマーケティングに参戦する混乱状況を受けて、米国連邦取引委員会は商品の宣伝と捉えられるInstagram記事ついて、報酬が発生しているかどうかを明記するよう呼びかけている。

しかし権限上の問題で、違反しているソーシャル上の投稿やアカウントを取り締まることはできず、ケース・バイ・ケースで対応しているのが現状だ。

実際、「#sponsored content(スポンサーの依頼による記事)」などとご丁寧にハッシュタグをつけて投稿しているインスタグラマーなど、見たことははないだろう。

また、2013年にはNew York Timesのファッション評論家スージー・メンケスがソーシャルメディアを騒がすインフルエンサーについて苦言を呈している。

一般の人々にとっては現実離れした、虚飾と散財に溢れた彼ら/彼女らの影響力を批判してのものだ。

メンケスのような見方とは逆に、インフルエンサーの登場は一部の者が牛耳り、閉鎖的だったファッション業界に変革をもたらしたと賞賛を贈る意見もある。


ともあれ、若さと美貌を活かしてファンを獲得し、世の中で活躍したいと考える若い女性はいつの時代にも大勢いる。彼女たちにとって、以前はモデルや女優、タレントが目標だっただろうが、スターへの道のりには煩雑でおびただしい数のオーディアションや長い待機時間、無能なマネージャーなど、たくさんの障害があった。

しかし現代ではInstagramのアカウントやブログを作成するインターネット環境があれば、自分の能力を最大限に活かして世に出ることができる。

インフルエンサーとしてユーザーたちに認められれば、ハリウッドに集まる従来のセレブリティと同じく、人々からの羨望と大金を手に入れられるのだ。

ブランドやマーケター、そしてセレブリティを夢見る女性たちにとって選択肢が広がっている一方で、メンケスのように危惧しなければならない点とは何だろうか。

それはファッション業界における混乱だ。

ファッションインフルエンサーはソーシャル上でそれぞれの「小帝国」を運営するビジネスウーマンだ、とマッキーは述べる。

こうした状況どう受け取るかはそれぞれだが、ハッシュタグとともに世界中に発信されるファッションインフルエンサーらのビジネスの勢いは衰える様子がない。

彼ら/彼女らとどう付き合っていくかによって、ブランドの未来は大きく変わるだろう。



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インフルエンサーマーケティングはインフルエンサーとブランドの出会いによって出発する

これまで述べてきたように、ソーシャルメディアの発達と加速度的に変化するオンラインコミュティの分布を前に、ブランドが新しいマーケティングに乗り出そうとしつつも戸惑う一方で、インフルエンサーも自身にふさわしいブランドを探し求めている。

ブランドはインフルエンサーのブログ記事、Instagram投稿を通じてオーディエンスにリーチすることによってはじめて認知度を上げ、商品購入に結びつけることができるわけだが、ブランドが発信したい自社イメージとインフルエンサーを取り巻くコミュニティの文脈が異なっていれば、双方にとって不幸な出会いでしかなかったことになる。

例えばオートクチュールのハイブランドがファストファッションを求める若者や、ストリートカルチャーを愛するミレニアル世代にリーチしたとしても、ほとんど利益に結びつくことはないだろう。

こうしたマッチングの失敗はソーシャルを介した「口コミマーケティング」の信ぴょう性を揺るがし、インフルエンサーとブランド両者にとって信頼を失う危機となる。

オーディエンスらは報酬目当てにどんな商品の広告塔にもなるファッショニスタや、ソーシャル上での認知度を金で買えると思っているブランドに対し、驚くほど敏感だ。

失望はフォロワー数/ブランドユーザーの現象として如実に表れるだろう。

このためファッションインフルエンサーらは自身の「ソーシャル帝国」にふさわしいブランドを選別する必要があるのだ。


ファッション業界の混乱状況を整理し、こうした不幸な出会いを回避するためにも、インフルエンサーマーケティング専門事業者を活用することは自社を有利にする。

フォロワー数の多いインフルエンサーほど経済効果が期待され、一般的に高額の報酬が必要となるが、比較的安価で柔軟なマイクロインフルエンサーであっても、ロイヤリティの高いニッチなファンから大きなエンゲージメントを引き出すことがある。

また、高額なギャラを要求するビッグネームのインフルエンサーは、スタッフに人件費を払わなくてはならないため、ギャラのすべてがそのまま利益になるわけではないこと、一枚の投稿画像に一日、二日といった時間を費やしていることも忘れてはならない点だった。

インフルエンサーマーケティングの活用を考えるブランド、または自社のメソッドによって実行してきたが芳しい成果が得られなかったマーケターはこの点を心に留めながら、インフルエンサーマーケティングにかけるコストとROIのバランスを考えて欲しい。


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参考:Marie Claire “It Girl Inc.: How Much Money Social Media’s Biggest Style Stars Really Make” http://www.marieclaire.com/fashion/news/a22091/business-of-style-stars/

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