アルコール業界のインフルエンサーマーケティング6選—バドワイザー、ハイネケン、スミノフ…

Pocket

2017年以降の日本では、酒類の広告には「25歳以下を起用しない」「アニメを使用しない」などといった規制が設けられていますが、海外での酒類に関するインフルエンサーマーケティングはどうなっているのでしょうか。世界的に有名なブランドのインフルエンサーマーケティングの事例を紹介します。

目次

  1. 酒類業界の宣伝の舞台はSNS
  2. スミノフ
  3. バドワイザー
  4. I.W.ハーパー
  5. スカイウォッカ
  6. ハイネケン
  7. ベックス
  8. なぜインフルエンサーマーケティングなのか
  9. 酒類業界の宣伝の舞台はSNS

    若者の酒離れについてのニュースをよく目にする昨今。酒を飲まないという選択が自由にできるようになった一方で、日本でも酒の消費量が全体的に減少しています。国税庁によると2014年の酒の消費量は、ピーク時(1996年)の86%になったようです。

    それと並行して、世界各国では酒のコマーシャルを規制する動きが強まってきました。ボストン大学の2008年の調べによると、ボストンの公共交通機関(マサチューセッツ湾交通局の電車やバスなど)の利用者の54.1%が学生だったそうです。ジョン・ホプキンズ大学のアルコール広告の研究者は、このような公共交通機関における酒類の広告が未成年飲酒や若者の酒への依存を強めると述べています。

    こういった見方を背景に、酒の広告を規制する都市が増えているようです。ワシントンポストによると、サンフランシスコ・ワシントン・フィラデルフィアなどでは公共交通機関にアルコールの広告を出すことを原則禁止。酒類メーカーも自主規制を導入したり、飲酒運転を防ぐ取り組みを行っています。

    酒をめぐる環境は厳しくなっているようですが、実態はどうなのでしょうか。

    テキサス大学オースティン校の研究によると、
    ・確かにアルコールの消費量は減少している。一人当たりの酒の消費量は、2011年には1980年の85%にまで下がった。
    ・一方で、酒の宣伝費用は1971年から2011年までの40年間で60倍近くに増えた。特にここ数年での、電子媒体を使った広告費の伸びは著しい。

    このような結果が発表されました。

    増大した宣伝費用は、インターネットでの広告に使われていると考えられます。未成年飲酒への懸念が強まる中で、注目されているのがSNSです。InstagramやFacebookの登場で年齢認証がしやすくなったこと、SNSの利用者のうち成人の割合が70%を超えると分かったことにより、かつては消極的だった酒類メーカーのSNS進出が急激に進んでいます。

    今回は、その中でインスタグラムを使ったインフルエンサーマーケティングの事例を紹介します。


    スミノフ

    スミノフは、ロシア発祥のウォッカブランド。ロシア革命後にアメリカに移って、現在に至るまで販売を続けています。2017年に、アメリカに移ってからのスミノフの発展を祝って、多数のインスタグラマーとのコラボレーションが行われました。 

    1941年10月に、ウォッカを使ったカクテル(モスコー・ミュール)が生まれ、スミノフ流行の一因となった。モスコー・ミュール発明から75年になる2016年、スミノフは、覚えやすい2017年3月3日をナショナル・モスコー・ミュールデーという記念日にすると宣言した。

    それを受けて、130万人のフォロワーを持つインフルエンサーの「boywithnojob」は、2017年の年明け早々に元気のいいセルフィーを投稿しました。


    海を背景に、スミノフのロゴ付きのカップにアルコール度数40度のウォッカを注いでもらっている写真です。

    自分が酒を飲んでいる様子、注いでいる様子を投稿するインフルエンサーが多いが、ひとひねり加える人もいます。フードブロガーのEden Passateはお菓子ボックスにスミノフの瓶とコップを入れたオシャレな写真を投稿しました。

    スミノフのインフルエンサーマーケティングキャンペーンの特長は、インフルエンサーがただ酒を飲んでいる写真をシェアするだけで大きな宣伝効果が得られる、ということです。ナショナル・モスコー・ミュールデーである3月3日にも多数の写真や動画が投稿され、多くのいいねを集めました。

    おすすめ記事➀:効果的にインフルエンサーマーケティングを活用する食料品ブランドの傾向

    おすすめ記事②:飲食店のマイクロインフルエンサー活用事例

    バドワイザー

    バドワイザーはアメリカ・ミズーリ州の会社が製造しているラガー・ビールで、日本ではキリンビールが販売しています。

    バドワイザーは広告のリーチを広げるためにインフルエンサーマーケティングを展開。数々のインスタグラマーと契約しているが、その一人がLace Morrisです。

    Game days are better with my partner @budweiser! #thisbudsforyou

    Lace Morrisさん(@lacemorris3)がシェアした投稿 –


    Morrisは、ABCテレビの番組の出演者からインスタグラマーに転身した女性で、インスタグラムには36万人を超えるフォロワーがいます。バドワイザーのインスタグラムのフォロワーは24万人程度にとどまるので、彼女が発信すれば、そのおよそ1.5倍の人にメッセージを届けられることになるのです。さらに、インスタグラマーの意見は信用される傾向にあるので、宣伝効果はより一層高まると考えられます。

    バドワイザーは、投稿する写真のどこかにバドワイザーを入れシェアすることで、アメリカ全土のインフルエンサーに自分の街をアピールしてもらう企画も行いました。あらゆる都市のインフルエンサーと交流することで、バドワイザーはあらゆる街の魅力を理解しているブランドだ、とフォロワーに感じてもらうことを目指しているためです。

    I.W.ハーパー

    I.W.ハーパーはアメリカ発祥のバーボン・ウイスキーで、80年代に日本で流行しました。2015年には宣伝効果を上げるため、同社はアフリカ系アメリカ人のインフルエンサーやブロガーを起用しています。


    I.W.ハーパーは、昔ながらの宣伝方法をインフルエンサーマーケティングに応用しました。カクテルパーティーを開催してインフルエンサーたちに自社のウイスキーを楽しんでもらったのです。参加したインフルエンサーたちは、自分がテイスティングする姿をインスタグラムに投稿。こういった古典的なマーケティングを通して、インフルエンサーとブランドとの関係が強まり、インフルエンサーは酒類ブランドへより愛着を持つようになるのだと考えられます。

    スカイウォッカ

    「skyy」と白で書かれた青い瓶に入ったスカイは、25年前にサンフランシスコで発売開始されたウォッカブランドです。

    スカイは、インフルエンサーにちょっと変わった方法でアピールしてもらいました。セルフィーの中にウォッカを入れるのではなく、インフルエンサーは青いセーターやニット帽を身にまとうという方法です。


    この写真では白い雪景色の中で、スカイのトレードカラーのブルーが目立つ構図になっています。スカイは、様々なジャンルのインフルエンサーに協力してもらうことで、インフルエンサーマーケティングのリーチの幅をできるだけ広げる戦略をとっています。


    ハイネケン

    ハイネケングループは1863年に創業した歴史あるオランダの会社。世界有数のビールブランドで、日本でも主に若者によく飲まれている人気のお酒です。

    同社はインフルエンサーやデザイナー、ブティックにハイネケン公式の男性向けアパレル商品をデザインしてもらうというキャンペーンを実施しました。


    上の写真は、ファションインスタグラマーに完成したリュックサックのモデルになってもらったものです。インフルエンサーマーケティングを活用して、ハイネケンブランドのグッズが身近にある生活スタイルをアピールすることを可能にしました。

    ベックス

    全国各地でオクトーバーフェストが開かれており、ドイツビールに対する関心は高まっていますが、ベックスはそんなドイツビールの大手企業です。

    Ready for a special night at @becks_it 😍🍺🎶 #becksunacademy #live #beckstage

    Valentina Ferragniさん(@valentinaferragni)がシェアした投稿 –


    上の写真は、フォロワーが120万人に上るイタリアのインスタグラマー「Valentina Ferragni」が、ベックス主催の音楽イベントに招待された時の様子。イベントを開催してインフルエンサーに参加してもらうというインフルエンサーマーケティングの手法は、酒類業界でもメジャーになっています。

    なぜインフルエンサーマーケティングなのか

    ここまで、酒類メーカーのインフルエンサーマーケティングの事例を紹介してきましたが、なぜインフルエンサーが積極的に起用されているのでしょうか。

    インフルエンサーマーケティング・エージェンシーの「Mediakix」の見解によれば、

    ・酒が身近に溶け込んだ生活スタイルをリアルに提案できる
    ・酒の宣伝のリーチが広がり、インフルエンサーのフォロワーを中心にカスタマーのコミュニティを作ることができる。

    前述のテキサス大学の研究は、今後アルコールの消費が増加する可能性は低いと見積もっています。しかし、これ以上の減少を食い止め、カスタマーに身近に感じて、長く愛飲してもらう工夫は必要とされています。

    また、最近では「映画の中で酒・タバコが登場する回数を減らしていこう」という動きがあるように、広告宣伝に対する規制は日本でも強まっています。こうした2つの問題にどのように取り組んでいくかが焦点となりますが、インフルエンサーマーケティングは選択肢の1つとなるでしょう。


    おすすめ記事③:【事例】米国の旅行アプリ会社のインフルエンサーマーケティング

    おすすめ記事④:誠実なインフルエンサーを起用しキャンペーンが向上



     

    参照:https://www.nta.go.jp/shiraberu/senmonjoho/sake/shiori-gaikyo/shiori/2016/pdf/000.pdf,https://www.washingtonpost.com/news/wonk/wp/2014/10/01/when-transit-agencies-run-short-on-cash-should-they-sell-alcohol-ads-to-get-it/?utm_term=.c53a41df8e68,https://www.curalate.com/blog/alcohol-social-influencers/ http://www.adweek.com/brand-marketing/alcohol-ads-increased-400-over-40-years-americans-arent-drinking-more-163668/,http://mediakix.com/2016/03/alcohol-advertising-social-media-influencers/#gs.iDPUaS0,https://medium.com/juliusworks/how-smirnoff-targeted-millennials-with-influencers-to-celebrate-national-moscow-mule-day-24f8c5469c1e,http://mediakix.com/2015/12/how-brands-are-marketing-on-instagram-this-holiday-season/#gs.b7HAnmk,http://www.prnewswire.com/news-releases/smirnoff-vodka-the-vodka-of-the-original-moscow-mule-declares-march-3-to-be-national-moscow-mule-day-300348439.html

    Pocket