アルコール業界のインフルエンサーマーケティング6選—バドワイザー、ハイネケン、スミノフ…

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酒類の販売が伸びず、広告も出しにくくなる中で、ブランドはSNSのインフルエンサーマーケティングに活路を見出している。世界的に有名なブランドのインフルエンサーマーケティングの事例を紹介する。


酒類業界の宣伝の舞台はSNS

 

若者の酒離れについてのニュースをよく目にする。酒を飲まないという選択が自由にできるようになった一方で、日本でも酒の消費量が全体的に減少している。国税庁によると2014年の酒の消費量は、ピーク時(1996年)の86%になった。

それと並行して、世界各国では酒のコマーシャルを規制する動きが強まってきた。ボストン大学の2008年の調べによると、ボストンの公共交通機関(マサチューセッツ湾交通局の電車やバスなど)の利用者の54.1%が学生だったという。ジョン・ホプキンズ大学のアルコール広告の研究者は、このような広告が未成年飲酒や若者の酒への依存を強めると述べている。

このような見方を背景に、酒の広告を規制する都市が増えている。ワシントンポストによると、サンフランシスコ、ワシントン、フィラデルフィアなどでは公共交通機関にアルコールの広告を出すことが禁止されている。酒類メーカーも自主規制を導入したり、飲酒運転を防ぐ取り組みをしたりしている。

このように酒をめぐる環境は厳しくなっているが、実態はどうなのだろうか。

テキサス大学オースティン校の研究によるとアメリカでは、


・確かにアルコールの消費量は減少している。一人当たりの酒の消費量は、2011年には1980年の85%にまで下がった。

・一方で、酒の宣伝費用は1971年から2011年までの40年間で60倍近くに増えた。特にここ数年での、電子媒体を使った広告費の伸びは著しい。


増大した宣伝費用は、インターネットでの広告に使われていると考えられる。未成年飲酒への懸念が強まる中で、注目されているのがSNSだ。InstagramやFacebookの登場で年齢認証がしやすくなったこと、SNSの利用者のうち成人の割合が70%を超えると分かったことにより、かつては消極的だった酒類メーカーのSNS進出が急激に進んでいる。

今回は、その中でインスタグラムを使ったインフルエンサーマーケティングの事例を紹介する。

スミノフ

スミノフは、ロシア発祥のウォッカブランドだ。ロシア革命後にアメリカに移って、現在に至るまで販売を続けている。2017年に、アメリカに移ってからのスミノフの発展を祝って、多数のインスタグラマーとのコラボレーションが行われた。 

1941年10月に、ウォッカを使ったカクテル(モスコー・ミュール)が生まれ、スミノフ流行の一因となった。モスコー・ミュール発明から75年になる2016年、スミノフは、覚えやすい2017年3月3日をナショナル・モスコー・ミュールデーという記念日にすると宣言した。

 

それを受けて、130万人のフォロワーを持つboywithnojobは、2017年の年明け早々に元気のいいセルフィーを投稿した。


海を背景に、スミノフのロゴ付きのカップにアルコール度数40度のウォッカを注いでもらっている写真だ。

自分が酒を飲んでいる様子、注いでいる様子を投稿するインフルエンサーが多いが、ひとひねり加える人もいる。フードブロガーのEden Passateはお菓子ボックスにスミノフの瓶とコップを入れたオシャレな写真を投稿した。

 

スミノフのインフルエンサーマーケティングキャンペーンの特長は、インフルエンサーがただ酒を飲んでいる写真をシェアするだけで大きな宣伝効果が得られるということだ。ナショナル・モスコー・ミュールデーである3月3日にも多数の写真や動画が投稿され、多くのいいねを集めた。

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バドワイザー

バドワイザーはアメリカ・ミズーリ州の会社が製造しているラガー・ビールで、日本ではキリンビールが販売している。

バドワイザーは広告のリーチを広げるためにインフルエンサーマーケティングを展開している。数々のインスタグラマーと契約しているが、その一人がLace Morrisだ。

Game days are better with my partner @budweiser! #thisbudsforyou

Lace Morrisさん(@lacemorris3)がシェアした投稿 –


Morrisは、ABCテレビの番組の出演者からインスタグラマーに転身した女性で、インスタグラムには36万人を超えるフォロワーがいる。バドワイザーのインスタグラムのフォロワーは24万人程度にとどまるので、およそ1.5倍の人にメッセージを届けられることになる。さらに、インスタグラマーの意見は信用される傾向にあるので、宣伝効果はより一層高まる。

バドワイザーは、アメリカ全土のインフルエンサーに自分の街をアピールしてもらう企画も行った。インフルエンサーは写真のどこかにバドワイザーを入れ、シェアする。あらゆる都市のインフルエンサーと交流することで、バドワイザーはあらゆる街の魅力を理解しているブランドだ、とフォロワーに感じてもらうことを目指している。

I.W.ハーパー

I.W.ハーパーはアメリカ発祥のバーボン・ウイスキーで、80年代に日本で流行した。2015年に宣伝効果を上げるため、アフリカ系アメリカ人のインフルエンサーやブロガーを起用した。


I.W.ハーパーは、昔ながらの宣伝方法をインフルエンサーマーケティングに応用した。カクテルパーティーを開催してインフルエンサーたちに自社のウイスキーを楽しんでもらったのだ。参加したインフルエンサーたちは、自分がテイスティングする姿をインスタグラムに投稿した。こういった古典的なマーケティングを通して、インフルエンサーとブランドとの関係が強まり、インフルエンサーは酒類ブランドへの愛着を持つようになる。

スカイウォッカ

「skyy」と白で書かれた青い瓶に入った、スカイは25年前にサンフランシスコで発売開始された若いウォッカブランドだ。

スカイは、インフルエンサーにちょっと変わった方法でアピールしてもらう。セルフィーの中にウォッカを入れるのではなく、インフルエンサーは青いセーターやニット帽を身にまとう。


白い雪景色の中で、スカイのトレードカラーのブルーが目立つ構図になっている。スカイは、様々なジャンルのインフルエンサーに協力してもらうことで、インフルエンサーマーケティングのリーチの幅をできるだけ広げる戦略をとっている。


ハイネケン

ハイネケングループは1863年に創業した歴史あるオランダの会社だ。世界有数のビールブランドで、日本でも主に若者によく飲まれている人気の酒だ。

このハイネケンが、インフルエンサー、デザイナー、ブティックにハイネケン公式の男性向けアパレル商品をデザインしてもらうというキャンペーンを実施した。


上の写真は、その一環としてファションインスタグラマーに完成したリュックサックのモデルになってもらったものだ。インフルエンサーマーケティングを活用して、ハイネケンブランドのグッズが身近にある生活スタイルをアピールすることができた。

ベックス

全国各地でオクトーバーフェストが開かれており、ドイツビールに対する関心は高まっているが、ベックスはそんなドイツビールの大手企業だ。

Ready for a special night at @becks_it 😍🍺🎶 #becksunacademy #live #beckstage

Valentina Ferragniさん(@valentinaferragni)がシェアした投稿 –


上の写真は、フォロワーが120万人に上るイタリアのインスタグラマーValentina Ferragniが、ベックス主催の音楽イベントに招待された時の様子。イベントを開催してインフルエンサーに参加してもらうというインフルエンサーマーケティングの手法は、酒類業界でもメジャーになっている。

なぜインフルエンサーマーケティングなのか

ここまで、酒類メーカーのインフルエンサーマーケティングの事例を紹介してきたが、なぜインフルエンサーが積極的に起用されているのだろうか。

Mediakixの見解によれば、


・酒が身近に溶け込んだ生活スタイルをリアルに提案できる

・酒の宣伝のリーチが広がり、インフルエンサーのフォロワーを中心にカスタマーのコミュニティを作ることができる。


前述のテキサス大学の研究は、今後アルコールの消費が増加する可能性は低いと見積もっている。しかし、これ以上の減少を食い止め、カスタマーに身近に感じて長く愛飲してもらう工夫は必要とされている。

また、最近では映画の中で酒・タバコが登場する回数を減らしていこうという動きがあるように、広告宣伝に対する規制は日本でも強まっている。こうした2つの問題にどのように取り組んでいくかが問題となるが、インフルエンサーマーケティングは選択肢の1つとなるだろう。


おすすめ記事③:【事例】米国の旅行アプリ会社のインフルエンサーマーケティング

おすすめ記事④:誠実なインフルエンサーを起用しキャンペーンが向上



 

参照:https://www.nta.go.jp/shiraberu/senmonjoho/sake/shiori-gaikyo/shiori/2016/pdf/000.pdf,https://www.washingtonpost.com/news/wonk/wp/2014/10/01/when-transit-agencies-run-short-on-cash-should-they-sell-alcohol-ads-to-get-it/?utm_term=.c53a41df8e68,https://www.curalate.com/blog/alcohol-social-influencers/ http://www.adweek.com/brand-marketing/alcohol-ads-increased-400-over-40-years-americans-arent-drinking-more-163668/,http://mediakix.com/2016/03/alcohol-advertising-social-media-influencers/#gs.iDPUaS0,https://medium.com/juliusworks/how-smirnoff-targeted-millennials-with-influencers-to-celebrate-national-moscow-mule-day-24f8c5469c1e,http://mediakix.com/2015/12/how-brands-are-marketing-on-instagram-this-holiday-season/#gs.b7HAnmk,http://www.prnewswire.com/news-releases/smirnoff-vodka-the-vodka-of-the-original-moscow-mule-declares-march-3-to-be-national-moscow-mule-day-300348439.html

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